なかなか改善しないストレスや体調不良。それは副腎が悲鳴を上げてるサインかも!
2021.01.08
体が疲れやすい。ちょっとした事でイライラする。以前よりも集中力が低下してきた。なんだかやる気が出ない。
このような体の不調がなかなか改善されないなんて事はないでしょうか?
パッと思い浮かぶ原因として、加齢や代謝の低下、運動不足など一般的にはこのような事が思い浮かぶかと思われます。
しかし、それらは直接的な原因ではなく、実はある意外な臓器が疲れのサインを出している可能性があるかも知れません。
最近耳にする副腎疲労。一体何の働きをしてる?
副腎という臓器についてご存知ですか?
言葉自体はどこかで聞いた事があるという人もいらっしゃるかと思いますが、一般的にはあまり聞き慣れないもので、特にその働きについては詳しく知らない方が多いのではないかと思います。
副腎について簡単に説明しますと、2つの腎臓の上にそれぞれ乗っかったような形でついていて、ホルモンの生産や分泌をしている臓器です。
この副腎の働きによるホルモンの生産や分泌によって心身が受けるストレスや病気から体を守ってくれていますが、この副腎に負担がかかる事で、そのバランスが崩れ、私たちの身体に様々な異変や不調を生じさせてしまいます。
今、アメリカでは約80%の人が副腎疲労を患っている⁉︎
副腎疲労という概念が初めて世に出るきっかけとなったのは、アメリカの医師であるジェームス・L・ウィルソン博士が1990年代に提唱した事がきっかけです。
近年の研究で、高血圧、糖尿病、動脈硬化、胃腸障害、更年期障害、うつ病、不眠、認知障害、アレルギーなどの免疫疾患など、あらゆる病気や体の不調に、この副腎から分泌されるホルモンが大きく関係している事がわかってきています。
医療の最先端をいくアメリカでは、約80%のアメリカ人が何らかの副腎疲労を患っていると言われており、今日本でも徐々に認識が広まってきている副腎疲労についてここでご紹介していきたいと思います。
副腎疲労が及ぼす症状と原因。
日本では、スクエアクリニックの本間龍介・本間良子先生が初めて副腎疲労の外来診療を行った事や本の出版で、副腎疲労に対する認識が医療従事者の間でも広まり、今では副腎疲労治療を行うクリニックも全国的に広まってきています。
副腎で作られるホルモンは、血糖や血圧のコントロール、免疫機能の調整、炎症反応、精神・神経系のサポート、骨の代謝作用、性ホルモンの生成など、人が生きていくうえで大切な要素を多面的に支えてくれているのです。
しかし、副腎疲労って聞いてもあまりピンとこない、自分に本当に関係あるのか?と思われる方も多いのではないでしょうか?
ここで副腎による影響がどれくらいあるのか。少しチェックしてみましょう。
■副腎疲労のよくある症状
☑︎ 疲れやすい。やる気が出ないなど倦怠感が続く。
☑︎ 気持ちが落ち着かないなど、精神的に不安定になる。
☑︎ 睡眠の質の低下。睡眠時間は取ってるが熟睡できていない。
☑︎ 集中力の欠如。
☑︎ 花粉症などアレルギー症状に敏感
☑︎ カフェインの入った飲み物や、チョコレートなどの甘いものがないとやる気が出ない。
☑︎ ちょっとした事でもすぐにイライラしてしまう。
☑︎ PMS(月経前症候群)が悪化している。
もし、チェックが3つ以上あったという方は要注意。
副腎が悲鳴を上げている可能性がありますので、副腎を回復させる為には今までの食生活や生活習慣などをもう一度改めてみる必要があります。
次に、副腎にダメージを与えてしまう原因について見ていきましょう。
■副腎がダメージを受ける主な原因
ストレス
副腎に疲労がたまる原因として、影響が大きいと考えられているのがストレスです。副腎はストレスの腺ともいわれ、ホルモンの分泌が過剰に増えたり適正な分泌ができなくなります。
この影響を受ける事で、ストレスに対抗して体を回復してくれるコルチゾール(別名ストレスホルモン)が枯渇してしまい、心身にあらゆる不調を与えてしまいます。
重金属の溜め込み
加工食品に使われている食品添加物や、工場や車両から出る排気ガスを鼻や口から摂取する事で、体内に水銀やヒ素などの重金属が取り込まれていきます。
加工食品だけでなく、天然の食材でも大型魚など多くの水銀などが含まれている食材もありますので、注意が必要です。
生活習慣の乱れ
睡眠不足や偏食による栄養バランスの偏りによっても副腎は常に体の状態を安定させようとフル活動している状態にあります。
この疲労によって、ホルモンの生成やバランスが乱れ、自己治癒力の低下や自律神経の乱れにもつながり、慢性的な疲労や病気を引き起こす原因にもなってきます。
運動不足
運動不足による代謝の衰えも、副腎の機能を低下させる要因でもあります。適度な運動は脂肪燃焼を促したり、発汗作用を高めるなどの効果もありますので、少なくても1日10分〜20分ほどは運動をする習慣をつけるようにしましょう。
副腎疲労は若いからといって放置できない。
副腎疲労の症状は直接的な痛みを感じにくいという特徴があり、どうしても放置してしまいがちですが、そのまま放っておくと糖尿病や高血圧などの症状にも繋がります。
20〜30代の若い世代の方でも日頃から意識を高めておくと良いでしょう。
特に出産を迎える予定があったり、これから可能性がある方は胎児にも母親のホルモンバランスやストレスの影響を大きく受けるので、早めの対策が必要です。
ダメージを受けても自分では気づきにくい副腎疲労。その解決方法について。
では、このやっかいな副腎の状態をどうすれば正常に保つ事ができるのか?その事について栄養素を中心に解説します。
副腎対策として欠かせない栄養素と避けたい成分。
■副腎疲労の回復に効果的な栄養素
ビタミンB群
豚肉や魚、貝類、レバーなどに多く含まれるビタミンB郡は、体のあちこちで使われる大人気の栄養素で、副腎がホルモンを生成する際も必要とされる栄養素です。
しかし、大人気の栄養素である事から、あっという間に消費される事もあり、すぐに枯渇状態に陥りやすい傾向があります。
解毒作用の働きを持つ肝臓もこのビタミンB郡を大量に使う為、枯渇した状態が続くと解毒作用が上手く働かず、毒素を体内に溜め込みやすい状態になってしまいますので、日頃から意識して積極的に摂取して枯渇しないようにしていきたい栄養素です。
青魚の油
オメガ3脂肪酸を多く含んだDHA(ドコサヘキサエン酸)は、副腎の働きと大きく関係する脳の働きにいい栄養素で、イワシやサバなどの青魚に多く含まれています。
DHAはセロトニンという幸せホルモンとも呼ばれる生成の促進を促す働きがあり、精神の安定にも使われていますので、イライラしやすかったり、不安定になりやすい方は特に積極的に摂取されると良い栄養素です。
体内の酸化を抑えるファイトケミカル
野菜や果物の色素や香りなどの含まれる天然の化学物質と言われているファイトケミカルは抗酸化作用があり、こちらも副腎の疲労を改善してくれます。
色の濃い緑黄色野菜や果物類は、クロロフィルやリコピン、ルテインや葉酸を豊富に含んだものがありますので、欲しい栄養素に合わせて含有量の多いものを選ぶと良いでしょう。
ここまでが積極的に摂取していきたい栄養素です。しかし、せっかく栄養素を多く摂ったとしても、それ以上に副腎に負担をかける成分や毒素を摂ってしまっていては意味がありません。
ここからは、避けたい成分の具体例です。
■避けたい食品と成分
アレルギーを誘発する食品
卵やとうもろこし、大豆などはアレルギーを誘発しやすい成分を含んでいますので、過剰摂取は避けたい食品です。
一般的に身体に良い食品でも摂りすぎる事で、副腎に大きな疲労を与えてしまいますので注意が必要です。
カフェインが多いもの
1日に何杯もコーヒーを飲んだりされるようなカフェイン好きの方も、副腎疲労を患っている可能性が高いです。
ただ、カフェインを多量に摂取していた人が急に摂取しなくなると頭痛や無気力感などが発生する場合があるので、徐々に量を減らしたり、薄めて飲むようにしましょう。
コーヒーだけでなく、栄養ドリンクやエナジードリンク、紅茶や緑茶もカフェインが含まれているので、多量に飲むのは控えるようにしましょう。
食品添加物
インスタント食品に代表される加工食品や食品添加物にも多くの化学物質が使われており、副腎を消耗させる原因となります。
商品を選ぶ際にラベル表記をみる習慣をつけて、できるだけ無添加のものを選ぶようにしましょう。
白い食品
精製された砂糖や白米も血糖値を上昇させる作用がありますので、
できるだけ五穀米や玄米、黒砂糖など色つきのものを選ぶようにしましょう。
牛乳やチーズなどの乳製品もカゼインもアレルギー源となりますので、できるだけ避けるようにする事が大切です。
グルテン
パン、うどん、ラーメン、パスタなどの麺類などにはグルテン(小麦タンパク質)はアレルギーや腸を炎症させる原因となる成分で、こちらも副腎の疲労に影響を与えます。
他にもクッキーやケーキなどに含まれる菓子類にもグルテンが含まれている点と、白米以上に血糖値を急激に上昇する働きを持っている事を意識して過剰摂取を避けるように注意が必要です。
チョコレート
チョコレートも副腎疲労の方が共通して好んで摂取されている食品の一つで、特にPMS(月経前症候群)に悩まされている方はマグネシウムが
不足しがちなので、チョコレートが欲しくなる傾向があります。
こちらもあまり摂りすぎると、カカオ豆の残留農薬の問題やカドミウムの多量摂取につながりますので、量を控えるなどの工夫が必要です。
マグネシウムが豊富に含まれる海藻類や、ゴマなどを代わりに摂取する事で賄う事もできますので、こちらをメインに摂取するようにしましょう。
■食品以外に気をつけたいもの。
日用品の化学物質。
私たちが日常生活を送るうえで、食事と同じくらい身近に存在している石鹸やシャンプー、歯磨き剤や洗剤類も、頭皮や手のひらなど皮膚から化学物質を吸収しています。
特に防腐剤で使われるパラベンや、界面活性剤で使われるラウリル硫酸ナトリウムは避けたい成分です。ラベル表示を見て、原材料をチェックするようにしましょう。
毎日食事のバランスを考えるのが難しい。そんな時はサプリメントを上手く活用しましょう。
忙しい時や、なかなか栄養バランスを考えた食事が摂れない場合は、サプリメントを上手く活用するのも有効な手段です。
サプリメントの利点は、やはり手軽に栄養素をバランスよく摂取できる
ところにあります。
こちらも出来るだけ防腐剤などの化学物質が含まれていない無添加のものを選んでいく為にも、購入する前にラベル表記を見て確認したり、原材料を調べる習慣をつける事が望ましいです。
まとめ
副腎疲労について、その特徴や疲労の原因となる具体例を交えてご紹介しましたが、副腎のケアは基本的に次の2つです。
①余計なモノは摂取しない。
②足りない栄養素を摂る。
特に副腎チェックが3つ以上当てはまった方は、副腎を回復させる意味でも余計なモノの摂取を控え、免疫力を高めて溜まった毒素を引き出す事を意識しましょう。
デトックス 用のサプリメントや、デトックス 療法の外来も、一昔前と比べて認知も拡がり、身近な存在になってきていますので活用していきましょう。
また毎日摂取する食事や日常生活で使う日用品は、現代社会を生きるうえで欠かせないもので、それら全てのものを排除し、毒素や添加物を避ける事はほぼ不可能であると言えます。
しかし、商品を手に取った際に後ろの表示ラベルにある原材料を見る習慣をつけて、できるだけ私たちの体の”不調”をもたらす成分を避ける事はできます。
ストレスや疲労対策は「足す」よりも、まずは「引く」事が大切であり、私たち人間が本来持っている自己治癒力を回復させる近道と言えるのではないでしょうか。
今回の内容がお役に立てれば幸いです。
*今回の記事の内容についての参考元
ジェームズ・L.ウィルソン ,本間 良子 ,本間 龍介 (2011)
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